第48回 神奈川県教育研究所連盟教育研究発表大会 
 第5分科会
 発表テーマ ネットワークを利用した気象情報の活用
  
神奈川県立教育センター 教育指導部 第二研修室(地学) 
研修指導主事(兼)指導主事 神 崎 洋 一
  

 ハンディデータロガーを用いた県内4カ所の学校で気象観測を行い、ネットワークを利用してデータを交換したり意見交換を行った。それぞれ単独で観測していた従来の方法に比べ、気象現象に対する興味関心を高め、天気の変化の規則性をとらえることにより効果があることを検証するため、約1年間の調査研究を行った。
 
 
はじめに
 
 本研究は、ハンディデータロガーを用い、県内(横須賀、川崎、小田原、相模湖)4カ所の小学校から2名、中学校から2名の調査研究協力員及び長期研修員とともに、継続的な気象観測を行い、ネットワークを利用してデータを交換したり意見交換を行った。それぞれの学校が単独で気象観測をしていた従来の方法に比べ、児童・生徒の気象現象に対する興味関心を高め、天気の変化の規則性をとらえることにより効果があることを検証する目的で平成12年6月〜平成13年2月までの約1年間の調査研究を行った。 

(調査研究協力員)                                 
横須賀 横須賀市立津久井小学校   伊藤 英幸    
川崎  川崎市立三田小学校     大泉 文人
足柄下 小田原市立城南中学校    鈴木 昌弘
津久井 相模湖町立北相中学校    原 順二 
(長期研修員)
湘南三浦 寒川町立寒川東中学校   田中 正純 

 本研究に先立ち、平成10年にはデータロガーの精度や性能、学校等の気象観測や授業での利用法を探った。 平成11年には県立教育センターの研修講座において、『データロガーを使った環境測定』の実践を行い、有効な利用方法について報告した(神崎 2000)。
 平成12年度に行った本研究の成果として、 1 データロガーの特性、2 データロガーを使った観察実験、3 継続的な気象観測によるデータの取得、4 ネット上のデータの交換や会議の有効性、5 データロガーを使った授業プランの開発の5つについて報告する。
 
研究方法
 
 今まで本センターの調査研究協力員会は年間4〜5回センターに集まり、10時間〜18時間程度の会議を行って研究を進めてきたが、今回の調査研究協力員には、メールを利用できる先生方をお願いし、センターでの会議を年間3回、約6時間で研究を進めた。調査研究協力員のうち、日頃からメールを利用している方は、4人中1人であった。
 センターで行った3回の定例会議は、次のような内容で行い、研究を進めた。
 第1回の会議では、調査研究協力員の方が初めて使うことになるデータロガーの使用法、メール交換のための手法、及び研究の年間計画について説明した。
・気象観測用データロガーを各自2台ずつ貸与し操作方法の習得を図った。(貸与した機器については、器差を含んでいるため、あらかじめチェックを行った。)
・1台は継続観測用として県内5カ所(川崎市・横須賀市・相模湖町・小田原市・藤沢市)で、気温・湿度・気圧などの気象観測を行い、測定結果をネットワークを利用して共有化を図ることを伝えた。
・他の1台は個人研究用として、活用を考え、試行実験を行い、同様に測定結果はネットワークを利用して共有化を図ることを伝え、メールアドレスの交換をした。
具体的な注意事項
・電池は、アルカリ乾電池は1ヶ月使用可。充電池は3週間ほどで交換すること。
・データ交換を行う際のファイル名の付け方を   00 05 26 のようにすること。
                 ↑ ↑  ↑  ↑
              頭文字 年  月  日
・継続観測でのデータロガーの設定は、測定間隔→30分、測定期間→30日間にセットし、センサーは5つともONで行うこと。
 次回までの測定計画として、貸与した1台を使用し、2週間を1サイクルとした継続観測を依頼した。2週間に1回、データロガーで観測したデータをダウンロードし、メールにファイルを添付し、全員にデータを送付することを伝えた。データロガーの使用中に起こる疑問等については、メールを通じて対応し、6月1日より観測を開始した。
 第2回の会議では、データロガーを使用した感想や意見の交換、計測結果の検討を行った。また、データロガーを使った観察実験についてのブレインライティングを行い、アイデアを出し合った。次回の測定計画として、2学期第1回は9月1日(木)スタートとした。その後2週間ごとに木曜日スタートとし、測定スタートはなるべく区切りのよい00分か30分で行うことを確認した。また添付するエクセルデータの頭に「月、日、時、分」の記入をしておくことを決めた。
 第3回の会議では、これまでデータロガーを使った気象観測を行ってきて、気がついたこと、ネットワークを通じた研究の手法についての評価、データロガーを活用した授業案の検討を行った。
 また、この間、適宜メールにより、データ送付や意見交換を行い、具体的なデータについての指示やその時々の気象状況を伝えて、継続観測をバックアップしてきた。
 
研究内容
 
1 データロガーの特性
 初めてデータロガーを使った調査研究協力員によって、操作方法等での疑問点や使用について明らかになった特性は次の通りである。
<長所>
・どこでも気軽に置いたままで計測できるのがよい。
・日頃計測できない朝晩の冷え込みの程度が実感できた。
・メールの交換により、各地の違いがわかった。
・夏は、それほど違いを感じなかったが、冬は他の地域より小田原が暖かいことを実感した。もっと多くの地域との比較をしたい。
<短所>
・データロガーの設定状況(気温等の測定要素、測定間隔、測定期間)がよくわからないので、どのような設定で動作しているかがわかると良い。
・現状の観測値がわからないので、コンピュータがなくても観測値がある程度わかるようなディスプレイがあるとよい。
・バッテリー残量がわからない。
・データロガーはブラックボックスなので、センサーのしくみがわからない。
・2週間に1回の計測では、操作方法を忘れてしまうことがある。
・操作方法を誤って、データが取れないことがあった。
・データを取り出すことをうっかり忘れてしまうことがある。
・データ処理にエクセルを使うと、児童・生徒には技術的に難しい。
<改善及び発展>
・付属ソフトによって作成されたグラフはエラーデータもグラフ化するので、エクセル等であきらかなエラーを修正しグラフ化した方がよいグラフが得られる。
エクセルでのグラフの設定は、「挿入」→「グラフ」→「ユーザー設定」→「二軸上の折れ線」で行うとよい。
・測定場所が校舎であるため、輻射熱の影響を受けているかもしれないため、測定場所については工夫が必要。
・複数の内部メモリーがあれば数カ所での測定が可能。
・今回は外部センサーを使用しなかったが、外部センサーも使用した計測を行ってみたい。
 データロガーの操作性についての短所は予想されていた(神崎、2000)ことだが、1秒程度の短時間の測定間隔と違い30分間の測定間隔による観測では、計測状況を表示する窓がなく、発光ダイオードの点滅だけでは操作ミスが発見できず、欠測を生じた。データロガーの台数に余裕があり、同時に2台で計測すれば回避できた欠測も多いと考えられる。注意事項として、バッテリーの交換を早めに行うことを伝えたため、バッテリー切れによるトラブルは今回生じなかった。しかし従来の測器(温度計、湿度計、気圧計等)と異なり、2週間に一度の設定で、日々の観測を校務の合間に年間を通じ行えることが確かめられた。加えて、データの整理や考察もエクセル等の表計算ソフトの使用により、それほど負担なく行えることがわかった。

2 データロガーを使った観察実験
 データロガーでどんなことができるのか、調査研究協力員がアイデアを出し合い、次のような実験を試みた。このようなアイデアを児童・生徒と一緒に考え、試行錯誤を繰り返し、観察実験にとりくむことで、身近な自然現象について児童・生徒が自ら問題を見いだし解決することが可能になると考える。
 
(1)校舎の1階と4階での気圧変化
計測開始
60秒後 校舎1Fスタート、徒歩で階段を上り
150秒後 校舎4F到着
伊藤 英幸先生測定
4階建ての校舎(約10m)で、高度による気圧差(約1〜2hPa)はこのデータロガーで感知できる。












(2)ランドマークタワーでの気圧変化
計測開始
5秒後 エレベーター上昇スタート
26秒後
44秒後 最上階スカイガーデン到着
伊藤 英幸先生測定
 ランドマークタワー(約300m)のような高いビルでは、高度変化による気圧差(約30hPa)を明瞭に測定できる。










(3)富士山5合目往復の気圧変化
自宅(茅ヶ崎)から富士5合目までの車でドライブ中に計測
田中 正純先生測定
  富士山5合目(約2000m)では、高度変化による気圧差(約200hPa)が同様に測定できる。このデータロガーの気圧の測定下限は796hPaなので、これ以上の高度(これ以下の気圧)では計測できない。















(4)中国内モンゴル自治区クブチ砂漠と同時刻の日本国神奈川県藤沢市での気温と湿度比較
クブチ沙漠の気温・湿度(2000.9.11〜9.14)      
藤沢市の気温・湿度(2000.9.11〜9.14) 田中 正純先生測定
 
 砂漠の気温日較差の大きさや湿度の低さ、日本の夏の湿度の高さがはっきりとわかる。特に、砂漠では昼の気温上昇と湿度の低下、夜の気温低下と湿度の上昇の関係が顕著にあらわれている。
 
3 継続的な気象観測によるデータの取得 
 藤沢市の県立教育センター(標高約55m)の気象観測との比較を行いながら、次の4地点の観測のデータを取得できた。
場所:川崎市立三田小学校(標高約60m)
   横須賀市立津久井小学校(標高約35m)
   相模湖町立北相中学校(標高約200m)
   小田原市立城南中学校(標高約85m)
期間:平成12年6月1日から平成13年2月6日まで
   (部分的に欠測あり)
観測項目:気温、湿度、気圧、明るさ、音
 県内5カ所で、気温、湿度、気圧、光、音の5項目について、30分間隔で2週間を1サイクルとした継続観測を行い、データを交換した。
測定地点図(白地図を武田尚志 2000より引用)
 
 従来の観測のように、計測した記録を読みとったり、まとめたりすることなく、そのまま簡単にメールにファイルを添付してデータを送ることができる。また、受け取る側も、ファイルを加工しグラフを作成したりすることで、自分のデータとの比較が可能になる。このように、ネットワークを通じデータを共有することが可能なため、自分の観測したデータを発信することで、他の学校でも利用可能で、観測したデータの価値が高まることになる。また、継続した観測を続けることで、県内に広がった地域で同じ時期の気象イベントを逃すことなく、データが取得できることになった。そのため、従来の学校単位の気象観測のように単独で観測を行なう場合に比べ、調査研究協力員が1年間の観測を容易に継続できたと考える。
 児童・生徒にとっても、身近な気象観測を行う中で、ネットワークを通じた情報交換を行うことで、気象要素と気象変化のダイナミックな関係を理解する手助けとなるだろう。そのために、今後も学校間や教育センターとの連携をした気象観測を継続したい。

(1)例として横須賀市津久井小学校の1年間の気温変化
  夏休み中に操作ミスによる欠測があったが、その後ほぼ継続的に測定データが取得できた。年間を通じた観測によって、学校周辺の四季の変化がとらえられる。また、他の活動(飼育や栽培、環境学習等)の基礎データとして使用できる。



















(2)2000年7月7日 台風3号の通過時の各地の気圧変化(器差補正、海面更正済み)
 
 
 
 
 
 
 
(天気図日記2000年7月7日、8日より引用)
 台風3号は7月8日午前6時頃、神奈川県に最接近し、午前9時頃、関東の東を北上した。県内5カ所の観測地点では、最低気圧を記録した時刻はほとんど同じであった。広範囲のデータがあれば、台風の動きにともなう気圧変化や最低気圧を示す時刻の違いが顕著に現れたと考えられる。





 (3)2000年10月19日は移動性高気圧におおわれ、放射冷却によって全国的に冷え込んだ時の各地の気温変化
 (天気図日記2000年10月19日より引用)



全体的に小田原の城南中学校では気温も高く、冷え込みの度合いも小さい。藤沢の教育センターは相模湖町の北相中学校と同様に朝方の冷え込みが厳しかったことがわかる。


(4)2000年11月20日〜22日 温帯低気圧が発達しながら、日本付近を西から東へ通過した時の各地の気温変化
 低気圧の接近による気圧変化も見られたが、南からの暖かい風が入り込んだため、夕方から気温が急上昇したことがはっきり記録されている。あわせて藤沢市の教育センターと川崎市の三田小学校での気温上昇の時間的ずれがとらえられた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 


気図日記2000年11月20日〜22日より引用)
 
4 ネット上のデータの交換、ネット会議の有効性
 研究途中、コンピュータの故障により、メールの受け渡しが不可能になった時期があったが、研究期間に意見交換したメールの総数は約150通程度であった。その中で、ネット上のデータの交換、ネット会議の有効性について、調査研究協力員の意見から次のようなことがわかった。
・メール初心者の方は、この間のやりとりで、メールを見る習慣が付き、メール操作の負担はそれほど感じなかったようだ。しかし、メールを受け取りっぱなしで、応答できないことが多かった。
・メールが習慣になっている方は、1日1回はチェックしているので、メールのやりとりにまったく違和感はなかったようだ。
・まとめて観測データを受け取ると大変な作業になるので、2週間ごとにデータをやりとりできるのはよかった。また、ほぼリアルタイムにデータが取得できるので、気象現象と測定結果の関連を結びつけることができた。
・ネット会議と顔を合わせてやる会議を組み合わせて行うのはよい。
・メールのやりとりは、時間も制限されず、学校より自宅の方が楽である。学校のパソコンには指定されたソフト以外はインストールできない規定があるため、データロガーのソフトが使えなかった。
・観測データの交換時に、データと共に「今朝は冷え込みました」、「積雪が5cmでした」等の一言が入っているのがよかった。
 このように、研究期間中、2週間ごとにほぼ毎回途切れなくデータを交換し、気象イベント(台風の接近と通過、初霜や積雪時)のデータの比較ができた。なお、センターでの会議を補足するようなネット上での話し合いを設定したが、あくまで勤務時間外の自宅での作業でもあり、活発な会議の場にはならなかった。
 以上のことから、ネット上のデータや情報交換については、有効であると言えるが、ネット会議の有効性については、やや疑問が残った。そのため、ネット会議を行う場合、同じテーマで時間を決めてチャットを行ったり、掲示板の活用をしたりといった会議により改善されると考える。
 
5 データロガーを使った授業プランの開発
 この間のデータロガーの使用経験を踏まえ、従来の授業にどのように生かしていけるか授業プランを開発した。
 小学校5年C区分 地球と宇宙 「天気の変化」では、いろいろな場所での気温の変化、1週間の気温の移り変わりの授業プランを作成した。中学校第2分野「天気とその変化」では、気温、気圧、湿度の気象観測の授業プランと気圧と温度の関係やインターネットを通じた天気の変化等の活用試案を作成した。(資料1〜5)
 今後、このようなプランは学校にネットワーク環境の整備が進むことで、実践できると考えられる。
 
おわりに
 
  年間3回の調査研究協力員会であったが、メールによるデータの送付や話し合いを行うことによって、研究を進めることができた。また、平成12年6月から平成13年2月までの長期観測とデータロガーを利用したカリキュラム開発を行うことができた。
 本研究は、2年計画の1年目であるため、平成12年度は授業実践及びカリキュラムの検証はできなかった。平成12年度の研究成果については、教育センターや県内の気象観測データの問い合わせに対応したり、次年度以降の教育研修講座等で紹介し、検討材料としたい。
 最後に、研究用に不足したデータロガーを貸与してくださった樺村理科工業に感謝します。
 
引用文献
 
坂井一樹 2000 天気図日記 2000年7月7日、7月8日、10月19日、11月20日〜22日
武田尚志 2000 分県白地図 http://hp.vector.co.jp/authors/VA003652/wtzsiy.html
 
参考文献
 
神崎洋一 2000 「エコログ」の利用と環境測定、神奈川県立教育センター研究集録19、25〜28
 
○資料1 授業プラン
横須賀市立津久井小学校   伊藤 英幸
(小学校) 第5学年 理科学習指導案 
単元名 天気の変化(1)
単元のねらい
 気温、雲などを観測したり、映像などの情報を活用したりして、天気の変化を調べることができるようにする。
 @1日の気温の変化は、天気、雲、場所などと関係あること。
 A天気の変化は、観測の結果や映像などの情報を用いて予想できること。
単元について
 児童は、日常生活の中で気象現象について関心が高く、天気予報などの気象に関する情報を見聞きしたり、次の日の天気などを自分なりに予想したり判断したりしてきている。また、3年では、「日なたと日かげをくらべよう」の単元で太陽の光をさえぎると影ができることや温度計の見方や扱い方を学習してきている。
 この単元では、気温や天気の定期的な観測を通して、1日の気温の変化と天気との関係を見出したり、天気の変化を予想したりする活動を行う。 

単元計画                   [7時間]
学習活動 時間数 学  習  活  動  の  流  れ
いろいろな場所の空気の温度          
          



1日の気温の変化@     (晴れの日)       
1日の気温の変化A      (雨の日)     
          
          
1日の気温の変化B
      (夜間)


いろいろな場所の気温の変化



午後の天気の予想          
          
次の日の天気の予想          
         
 1  
   
   



 1  
   

 1



 1  
   


 1




 1  
   
   

 1  
   
   
話し合い:日なたと日かげにいたときの経験などをもとに話し合う。
観察:学校内で場所を変えて空気の温度を測って比べる。
 ・日なたと日かげ、地面からの高さの違い、地表のようすの違い、校舎の上下階、教室内と廊下など。
まとめ:空気の温度は、場所やようすによって違う。気温とは。

予想:経験をもとに1日の気温変化について話し合う。
観察:晴れの日に、1時間おきに気温を調べ、記録する。

予想:晴れの日の観察結果や経験をもとに、雨の日の気温の変化を予想する。
観察:晴れの日と同じように雨の日も調べる。
まとめ:晴れの日の最高最低気温の出現のようす。天気による気温変化の違い

予想:昼間の観察結果や経験をもとに、夜間の気温の変化を予想する。
観察:天気の違い、地表のようすの違いを比べながら気温の変化を記録する。
まとめ

予想:自分たちの住んでいる地域内で、気温の変化の違いを予想する。
観察:海側と山側など、場所を変えて気温の変化を記録する。
まとめ

観察:午前の天気・気温・雲の量と動きなどを調べ、記録する。
予想:記録をもとに、午後の天気を予想する。
調査:地域に伝わる天気に関する言い習わしを調べてみる。

調査:気象衛星「ひまわり」の雲画像やアメダスの雨量データについて知る。
話し合い:天気はどのように変化するかを話し合う。
調査・予想:雲画像や観察記録をもとにして、次の日の天気を予想する。
まとめ

本時の展開(5/7)
本時のねらい
 〇地域のようすの違いと気温変化の関係を調べ、記録する。
本時の展開
児童・生徒の活動 教師の働きかけ(教師の支援)
  自分たちの住んでいる地域の中で、気温の変化に違いがあるだろうか。
@自分たちの住んでいる地域のようすの違いについて話し合う。                     
A地域のようすの違いと気温変化の関係について話し合う。           ・海側と山側   ・高い所と低い所  ・駅・商店街と畑・緑地      
                     
B各地域の気温変化を調べ、測定結果をグラフ に表す。                
    

・児童の経験を自由に出させ、調べていこうとする意欲をもたせる。


・既習の気温測定方法を確認させる。    →データロガー・簡易百葉箱等の利用 ・測定結果をプリントアウトしておく。
  各地域で調べた気温変化について、気づいたことを発表しよう。
C各地点の測定結果を比べ、気温変化の違いを 考える。           ・より広い地域にも目を向けさせる。


○資料2
 授業プラン
川崎市立三田小学校     大泉 文人
(小学校) 第5学年 理科学習指導案 
単元名 天気の変化(2)秋の天気  
単元のねらい

@秋から冬にかけての天気の特徴をとらえることができるようにする。
A秋の天気も、春と同じように西から東へかわっていくことを、観測や資料集めを通して理解することがで きるようにする。
B各地域に伝わる天気に関する言い伝えなども参考にしながら、観測やメディア情報から得られた変化のき まりを活用して、明日の天気の予想をつけられるようにする。
単元について

 日本では、秋から冬にかけて、台風、長雨、秋晴れ、冬の季節風など特徴的な天気が観測される。その頃の天気の変化を、雲の動きと関係させてとらえるとともに、住んでいる地域について、観測やいろいろな情報から得られた規則性をもとに、明日の天気の予想をする力をつけさせたい。
 本単元では、秋の天気に興味を持ち、百葉箱やデータロガーの観測結果やメディアからの情報をもとに得られた天気の変化の規則性をとらえ、明日の天気を予想しようとする態度を養う。また、気象観測によって得られた連続した観測結果をコンピュータ等を活用しながら、秋の天気の変化のきまりついても気づかせたいと思う。
 <観点別達成目標>
@(自然事象への関心・意欲・態度)
   秋の天気に興味を持ち、気象観測の結果やメディアからの情報をもとに得られた天気の規則性を生かし、明日の天気の予想をしようとしている。
A(科学的な態度)
   気象観測の結果や新聞やテレビの情報や地域の天気に関する言い伝えなどから、秋の天気の変化のきまりを見つけ、天気の変わり方を説明したり予想したりすることができる。
B(観察・実験の技能・表現)
   器具などを用いて気象観測したり、新聞やテレビなどのメディア情報を集めたり、住んでいる地域に伝わる天気に関する言い伝えなどを集めたりすることができる。
C(自然事象についての知識・理解)
   秋から冬にかけての天気の特徴や、天気の変化のきまりや、天気と人々の生活の関係がわかる。 


単元計画                   [7時間]
学習活動 時間数 学  習  活  動  の  流  れ
天気の変わり方          
          
          
          

台風の動きと天気          
          
          
 4   
   
   
   


 3  
   
   
   
 
@秋の天気の変化は、どのようなきまりがあるのか調べる。
Aデータロガーを使って、1週間の天気の変化を調べてみよう。
B観測した気象結果や気象情報を整理してみよう。
C自分たちの住んでいる地域の明日の天気を予想する。
D冬の天気の特徴や、生活との関係について話し合う。

@台風が近づいてきたらデータロガーを使って観測する。
Aデータロガーのデーターを整理して、台風の動きと天気の変化について考え、まとめてみる。
B台風はどのような動きをし、また、わたしたちの生活にどんな影響を与えているか話し合う。 

 
本時の展開(1・2・3 / 7)
本時のねらい
 〇秋の天気も、春と同じように西から東に変わっていくことを、観測や資料集めを通して理解するととも  に、データロガーを活用し、連続的な観測結果をグラフに表したりしながら、秋の天気の変化のきまり  をみつけようとする態度を養う。
本時の展開
児童の活動 教師の働きかけ(教師の支援)
@このごろの天気の変化がどのように変わってきているのか話し合う。 
 ・天気の変わり方に変化があるんだろうか?
 ・春の天気と比べて違うところはあるのかな?
 ・観測をしてみよう。
・春の天気の学習で記録したものを活用し、活動の意欲を持たせたい。
・最近1〜2週間の天気を記録しておく。
A秋の天気の変化を連続して観測する計画をたてる。 
 ・秋の天気の変化を観測しよう。
 ・百葉箱やデータロガーを使って観測してみよう。
 ・いろいろな気象情報を集めよう。
  アメダス、天気予報、テレビの気象情報
  ひまわりによる雲の画像
 ・たくさんの気象情報があるね。                  
 
・既習内容を生かし、観測が行えるようにする。
・観測器具を整備しておくとともに、扱い方が難しいものについては、復習しておく。
・データロガーは、気温、湿度、気圧の3つを設定し測定させる。
・多くの気象情報に触れることができるように資料を用意しておく。
・気象情報の収集については、継続的に行えるようにする。
・観測グループをより少人数にしたり、多くの情報メディアを経験できるように個々の活動が生きる場の設定を工夫するようにする。
B観測結果と集めた情報からどんなことがわか
 るのか話し合う。
 ・雲の動きにつれて、天気も変わっているよ。
 ・天気の変化によって、気温や気圧・湿度も変わってきているね。 
・データロガーからのデータの回収方法については、復習をよくしておく。
・グラフ等を作成する際には、わかりやすいようにデータを間引く。


○資料3 授業プラン
相模湖町立北相中学校   原 順二
(中学校) 第2学年 理科学習指導案 
単元名 天気とその変化  
単元のねらい
 身近な気象の観察、観測を通して、天気変化の規則性に気づかせるとともに、気象現象についてそれが起こる仕組みと規則性についての認識を深める。
単元について
 様々な気象現象について多くの体験を通じて、興味・関心を持たせ、身近な場所で気象観測を探求的に行う。一定期間の気象観測から天気の変化の規則性に気づかせ、天気の変化が水の状態変化と大気の動きによって起きていることを理解させる。その際、コンピュータ等を活用した情報収集を行いながら進める。
 
単元計画                   [13時間]
学習活動 時間数 学  習  活  動  の  流  れ
気象観測          
          
          

霧や雲          

         
          
          

前線と天気の変化


 
 4   
   
   

 5  

   
   
   

 4  


 
身近な気象の観測(データロガーの気温、湿度、気圧 測定機能活用)
 気象観測結果の処理
 一日の気温と湿度の変化、天気の規則性

空気中の水(データロガーの気温、湿度測定機能活用)
 露点、飽和水蒸気量、湿度
 霧や雲の発生(データロガーの気温、気圧測定機能活用)
 気圧の存在、霧や雲のでき方
 大気中の水の循環

気圧
 気圧の大きさ、気圧と等圧線、気圧差と風
 気圧と天気の変化(データロガーの気温、湿度、気圧の測定機能と映像活用)
 高気圧と低気圧、気団と前線、前線と天気の変化
 
本時の展開(4,5/13)
本時のねらい
 〇湿度とは何か調べてみよう
  @気温の変化と飽和水蒸気量との関係について調べることができる。
   A露点について知ることができる。
   B観測結果から湿度について考察することができる。
本時の展開
生徒の活動 教師の働きかけ(教師の支援)
@データロガーの機能や取り扱いについて知り、気象観測をする。


Aデータロガーからデ−タを回収し、各班ごとに、一週間の天気の変化と気温、気圧、湿度の変化を調べる。               


B晴れの日と曇り、雨の日の気温、湿度の変化の関係について調べる。

 
・データロガーの扱い方がよくわからない生徒には個別に指導する。

・データの回収、気がついたことの記録等について、声をかけ、欠測がないようにする。

晴れ 気温は朝夕は低く、日中は高い。
   湿度は朝夕は高く、日中は低い。
曇り 気温は一日の中で変化が少ない。
雨  湿度も一日の中で変化が少ない。
  湿度とは何か調べてみよう。
Cビニ−ル袋の中の気温の変化と湿度の変化についての実験を行う。




D気温と水蒸気でいられる水の量の関係について考察する。





E湿度とは100 %とはどのような状態か考察する。


F学習事項のまとめと一般化。
・気温が上がると水が蒸発して水蒸気になり目に見えなくなる。
・気温が下がると水滴が見られ、下がるにつれて水滴が多くなる。
・気温が下がると湿度は上がるが、100 %以上にはならない。


・気温が変化すると、水蒸気でいられる水の量も変化する。
・気温が高いと水蒸気でいられる水の量は多い。
・気温が低いと水蒸気でいられる水の量は少ない。


・湿度100 %とは、水がそれ以上水蒸気にはなれない限界の状態であり、気温の変化により水蒸気になれる水の量も変化する。


・気温の変化と飽和水蒸気量との関係について知る。
・露点について知る。
・湿度とは、ある気温での空気の飽和水蒸気量に対しての実際に含まれている水の割合を表すものであることを知る。

・洗濯物がよく乾く条件について知る。
 雨の日、曇りの日よりも晴れの日、
 晴れた日の湿度の低い日中


ワークシート1  天気のようすを調べよう 
ねらい 気温、湿度、気圧などの観測記録と天気の変化との関係について調べよう。
観測
 身近な天気を調べよう

準備 □データロガー  □PC
1 データロガーの観測条件を設定し、観測を開始する。
2 天気調べをする。
   観測項目 気温、湿度、気圧。
   観測間隔 30分 30日間
   観測開始  月  日  時  分
   観測終了  月  日  時  分
3 観測結果をPCでグラフ化し、観察する。
 
結果
 時刻
  0

  6

 12

 18

 時刻
  0

  6

 12

 18
 
  月  日   月  日   月  日   月  日
  起きたら雪降り
  比較的暖かい

 

 

 

  10時ころやむ

 

 

 
  12時ころ晴れ間
 

 

 

 
  22時星空
  冷え込む

 

 

 
  月  日   月  日   月  日   月  日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
2 観測グラフから次の@Aについてまとめよう。
  @天気のよい日と天気の悪い日
   気温の変化  湿度の変化  気温と湿度の関係
天気のよい日
 (晴れ)



 
天気の悪い日
(曇り、雨)



 
  A気圧の変化と天気の関係
メモ


ワークシート2   湿度について調べよう
 ねらい 気温と湿度の関係について調べよう。
 
観察
準備 □データロガー(気温、湿度測定) □PC □透明なビニ−ル袋
   □スポイト □輪ゴム

1 データロガーを入れたビニ−ル袋に深く吸い込んだ息を、袋の8分目ほど吹き込み準備する。

2 データロガーの観測条件を設定する。
   観測項目 気温、湿度
   観測間隔  1秒  30分間

3 袋をもんでもくもりが見えなくなるまで、ドライヤ−でビニール袋の周りをまんべんなく暖め、データロガーでの測定を開始する。

4 空気中で冷やす。ビニール袋の内側にくもりがみられるようになった時の気温と湿度を記録する。

5 その後の気温の変化とくもりの度合い・気温の変化と湿度の関係を観察する。
 
結果
 1 水滴(くもり)がみられるようになった時の気温、湿度はどのようになったか。    
        気温    ℃   湿度     %
 
 2 気温が下がるにつれて、水滴の量(くもりの度合い)はどのようになったか。
 
 
 3 温度が下がると湿度はどのようになったか。
 
考察
 1 結果2から、温度が下がると、空気中に水蒸気でいられる水の量はどのようになると考えられるか。
 
 
 
 2 結果2、3から、湿度100 %とはどのような状態であると考えられるか。
 
メモ
 
考えてみよう <洗濯物がよく乾く時の条件は何?>

○資料4 活用試案
中学校第2学年 理科活用試案 小田原市立城南中学校 鈴木 昌弘
 
単元名「天気とその変化」
 
単元(題材)のねらい
T 身近な気象の観測・観察を行い天気の変化の規則性に気づく
U 観測・実験を通じ、大気中の水の状態の変化により気象の変化が引き起こされることを知る
V 大気圧について理解を深め、天気の変化との関連を知る
 
単元(題材)ついて
☆データロガー使用の場面についての試案
 
1.日常の気象観測を行う
 活用法→1週間の連続したデータを生徒に提供、その中から個人の選択したテーマに基づいてデータをチョイスしまとめを行う。
 例・天気図と気温、湿度、気圧の関係を知る
  ・決まった時間のみのデータを抜き出し、個人で観測した観天望気の結果(雲の高低、風の具合等)と比較する。
  ・晴れの日、曇りの日、雨の日における気温、湿度の変化を考察する。
 
2.気圧の変化と温度変化の関連
 活用法→大きな水槽にエコログを入れ、減圧したときの気圧の変化と温度の変化をリアルタイムで提示する。(減圧の方法は水槽の上部を大きなビニール袋でしっかりふさぎ、そのビニール袋を引くことで減圧する)
 効果:従来の注射器+フラスコを用いたもの等より、センサーがその現象の起こっている場所にあるため、生徒は起こったことをイメージしやすい。
3.気温と湿度の関連
 活用法→教室内を閉め切り、暖房等で温度を上げていったとき相対湿度が変化していくことをリアルタイムで計測する。
 効果:教室の温度が上がっていくことは体感できるが、湿度の変化とはなかなか結びつかない。実際にモニターしていくことで学習した内容を実感することができる。
 
4.大規模な天気の変化
○日本の天気
 活用法→エコログを使って観測してくれる学校を募り、そのデータをネット上で公開する。公開されたデータを用い自分たちの学校と比較し、天気の変化を知る。
 効果:全国データと比較できるため、テーマの選択の幅が広く多角的な取り組みができる。
 例・気圧の変化の様子
  ・台風や前線が通過していくときの気圧、気温、湿度の変化の様子

○資料5 活用試案
気温と湿度の関係等について 寒川町立寒川東中学校   田中 正純
 気温・湿度・気圧など、毎日の天気にもかかわる空気(大気)の状態を示す気象要素の観測は、瞬間のデータだけではなく、続けて観測しグラフ化していくことによってより興味深い結果を得ることができます。
 目の届くところに自記気圧計や自記温度計が置かれ、ふとのぞいた記録用紙に気圧の谷が記録されていたりしたとき、目に見えない「低気圧の通過」を実感し大きな大気の動きを感じることができるでしょう。それは『地球』を認識することであり、『大気』を実感することにもなるでしょう。ところが、これらの機械はそれぞれが6万円近くあるいはそれ以上で、用途の狭さを考えると備品として購入するには、他のものが優先になることもやむを得ないでしょう。
 そこで、これらを使わず連続気象観測を行いながら、多くの生徒に意識付けをする方法を考えてみました。
 
(1)気象観測リレー
  いろいろな集団(学級・選択授業・総合的な学習のグループなど)に属する生徒が、その集団の枠を越え一連の計測を共同で続けていく方法です。
  たとえば選択授業で「理科」があるとします。その集団の生徒は複数の学級にまたがっています。各学級での授業の時に、その中にいる選択授業のメンバーが計測をリレーします。または、学級内の理科係などに、日常連絡だけでなくこの「計測」という「理科」としての活動を義務づけることも良い方法だと思います。
  全生徒が計測に関わるわけではありませんが、「計測を行っている人」を身近な存在とする、また「計測されたデータ」については全員が共有できるということは、科学の体験にとって大きな一歩だと考えます。
【準備】
乾湿計・アネロイド型気圧計・グラフ用紙(自作)
【方法】
@理科室内に上記装置を設置します。
  本来ならば、百葉箱の中が望ましいのですが、理科の授業が実施されるごとに測定を確認できるというメリットを考え、理科室内で測定します。
A授業の始まりと終わりに、生徒に気温・湿度・気圧を測定させグラフ用紙にプロットさせます。
  次の時間に授業が実施される場合は、終わりの計測は省略します。
B理科室を使うときは、何年生の何組が測定しても同じグラフ用紙に記入していきます。
  いろいろなクラスが、一枚のグラフを完成させていくところにひとつの意義があります。もちろん、教員同士の連携も取っていきます。
C記録がグラフ用紙の終わりになったら、新しい用紙をつないで記録を続けます。
  理科室の廊下などに掲示していき、端から端までつながった長いグラフの完成です。学校全体への科学的意識の高揚も意図します。 
 
(2)デジタルハンディーデータロガーとパソコンを使って
  デジタル式のデータロガーというものがあります。これは安いものでは4万円弱で購入することができ、気象観測データは本体のみで計測、外部センサーによって、電流・電圧・PHも測定することができます。パソコンとディスプレイは必要ですが、リアルタイム計測はもちろん、本体にデータを記録することができるので持ち運ぶことも可能です。
  これを利用して理科室のテレビに常時表示しながら計測を続けます。もちろん授業の内容は別のことです。生徒の目がそちらに行くことも考えられますが、「常時表示」なので掲示物のようになり、「ふと目がいく」存在となるでしょう。
【準備】
 デジタルハンディーデータロガー・パソコン・TV・接続コード
【方法】
@データロガーで計測をし、リアルタイムで理科室内のテレビに映しておく。
  「この機械によって、気温・湿度・気圧の変化が測れる。」ことを目に慣れさせることが次につながります。
A特徴のある気象変化が予想されそうなとき、意識的に観測する。
  たとえば「台風が来そうだ。」というときに、「この機械を使って測定をしてみたい。」または「測定結果を見てみたい。」という気持ちをおこさせるはたらきかけをする。