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  感性を育てる

 

  「太陽が昇るところや沈むところを見たこと」がほとんどない子どもが男子で34%、女子で36%。「夜空いっぱいに輝く星をゆっくり見たこと」がほとんどない子どもが、男子で  26%,女子で21%。これは平成10年7月、全国の小中学生11,123人を対象に文部科学省が調査した結果です(『生活体験・自然体験が日本の子どもの心をはぐくむ』平成11年 文部科学省生涯学習審議会答申)。このことから最近の子どもたちはいかに自然体験が乏しいかがよく分かります。

 盲目のピアニスト梯さんの演奏は感性豊かな表現で高く評価されています。彼の幼少時代の日課は、母に手を引かれながら自然の中を散策することだったそうです。また、『沈黙の春』の作者、レイチェル・カーソンは56歳で亡くなりましたが、子どもたちへの大切な贈り物として『センス・オブ・ワンダー』という一冊の本を残しました。その中に「世界中の子どもに、生涯消えることのない神秘さや不思議さに目を見はる感性を授けて欲しい。」と書き残しました。情報化が進む中、情報機器による疑似体験がとても簡単に、そして、豊富にできるようになってきています。「言葉はその中に意味を内包しています。そして、その意味は五感で感じた体験を分かち合うことによって伝達されます。今、その体験が一方的に欠落しているとき、〜(中略)〜映像や画像を通した視覚と聴覚の二つだけに限定された疑似体験をもってその言葉としてしまいます。映像に向かう前に、もっと、色・形・大きさ・手触り・温かさ・ぬるぬる・味・匂いなど、つまり手のひら、足の裏の直接体験をたくさんすることだと思います。」と随筆集『草色の子どもたち』の中で、私たちの先輩竹内清先生が言っておられます。

 疑似体験からは感性は育ちません。五感を使った体験、とりわけ、自然体験が子どもたちの感性を養うとても大切な役割を果たしていることを忘れてはならないと思います。ましてや、子どもたちの人間形成に携わる者は、感受性が旺盛で多感な時期を見逃すことなく、その役割を果たすべきであることは言うまでもありません。       


○ ワンポイント・アドバイス
 
豊かな感性は、自然などの身近な環境と十分かかわることの中で、美しいものや心を動かす出来事など、多様な体験を通じて育まれる。 


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